ケンブリッジ英検はまだまだ日本では認知度が低く、特に英語関連の仕事をしている社会人でないと、ケンブリッジ英検資格保持者に出会うことは少ないのではないかと思います。
しかし、ケンブリッジ英検を受験する以上、気になるのは実際の合格率。独学で受験する場合、語学学校からの合格率情報もないため、よく分からないまま受験することになりがちではないでしょうか(私もそうでした。)
そこで、ありがたいことに、ケンブリッジ英検は毎年各国の受験生の合格率等を公表しています。(Grade statistics)
気になる日本の合格率から、FCEを日本で受験する人の傾向を独断と偏見で分析してみました。
(※ 私は一介の英語学習者であり、英語やデータ解析の専門家ではありません。あくまでも個人的な考えに基づくものであることをご了承ください。また、厳密に言うと「日本で実施されたFCEの受験生=日本人受験生」ではないのですが、日本で実施されたFCEの受験の多くが日本人であると考えられることから、便宜的にこの記事のタイトルは日本人の合格率と表現していることをご了承ください。)

【内容】
1. 2016年に日本で受験した受験生のFCE成績の分析
2. 2016年にイギリスで受験した受験生のFCE成績の分析
3. 日英の合格率を比較して考えたこと
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1. 2016年に日本で受験した受験生のFCE成績の分析
まず、2018年5月現在の最新のデータは2016年に実施された試験のものから数値を紹介します。
2016年に日本で受験した受験生のFCE成績
Grade A 1.9%
Grade B 4.2%
Grade C 16.5%
Council of Europe Level B1 55.9%
Fail 21.5%
( http://gradestatistics.cambridgeenglish.org/2016/fce.html )
Grade C以上が合格、Council of Europe Level B1(Grade D)とFail (Grade D)が不合格ですので、全体の合格率は 22.6 %、不合格率は 77.4 %。
なんと合格率は2割強です。何が原因なのか仮説を立ててみました。
(仮説1)
日本でのケンブリッジ英検の認知度が低く、語学学校などのケンブリッジ英検用の対策コースや日本語解説のあるケンブリッジ英検対策本も少ない。そのため、多くの受験生にとって試験の情報が入手しにくく、試験対策が十分でなかったのではないか。
(仮説2)
日本では英語資格といえばTOEICが主流であるが、多くの人がリーディングとリスニングのみのTOEICを受験している。また、従来の日本の英語教育は文法と長文読解を中心に行われていた。したがって、スピーキングやライティングといった英語のスキルも評価されるケンブリッジ英検において、今までの英語学習では歯が立たないのではないか。
(仮説3)
日本では英語というとアメリカ英語が中心だが、ケンブリッジ英検はイギリス英語なので、イギリス英語に戸惑うという部分もあるのではないか。
(仮説4)
2016年日本実施のCAEの場合、合格率は37.2%、不合格率は62.8%( http://gradestatistics.cambridgeenglish.org/2016/cae.html )。FCEより合格率が高くなっているのは、FCEよりCAEの方が圧倒的に難しい試験であるため、その分受験生もしっかり対策をして受験しているのではないか。

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2. 2016年にイギリスで受験した受験生のFCE成績の分析
次に、より日本実施の合格率の特徴を明確にするため、ケンブリッジ英検本場の地であるイギリスの場合も見ていきます。
2016年にイギリスで受験した受験生のFCE成績
Grade A 4.4%
Grade B 11.6%
Grade C 45.8%
Council of Europe Level B1 34.8%
Fail 3.4%
( http://gradestatistics.cambridgeenglish.org/2016/fce.html )
全体の合格率は 61.8 %、不合格率は 38.2 %。
合格率は6割を超えていて、日本とは合格・不合格率が逆の傾向になっています。合格率が高い理由について仮説を立ててみました。
(仮説1)
イギリスでは語学学校が数多くあり、その中でもケンブリッジ英検対策コースを設けている学校も多いことから、受験生の多くが専門家から試験対策を受けていたのではないか。
(仮説2)
ケンブリッジ英検の対策本が本屋やアマゾンで多く販売されており、勉強の教材に困らない。
(仮説3)
そもそもイギリスは英語圏であり、英語圏以外の国・地域に比べ英語に触れる機会が多く、英語学習的に有利である。
(仮説4)
2016年イギリス実施のCAEの場合、合格率は69.3%、不合格率は30.7%( http://gradestatistics.cambridgeenglish.org/2016/cae.html )。FCEと合格・不合格率が同様の傾向であることから、上記の仮説1~3がCAEの場合にも当てはまるのではないか。
(仮説5)
VISAや永住資格のの英語力証明になるため、真剣に受験する人が多いのではないか。

3. 日英の合格率を比較して考えたこと
日英のそれぞれの仮説を比較してみると、ありきたりの話ですが、日本の場合は試験対策が不十分なまま受験しているパターンが多いのではないかと推測します。イギリスの仮説のようにしっかり試験対策を行う環境にあれば合格率が高いのも当然の話のように思います。
ですので、日本でケンブリッジ英検、特にFCEを受験する場合、試験対策をしっかりしましょう、ということになるのではないでしょうか。語学学校に通って対策コースを受けるのも有効な手段かもしれません。また、私の勝手な想像ですが、「FCEのGrade C合格はIELTSだと5.5で、TOEICだと600点・英検だと準一級相当だから、大して勉強しなくても合格できるはず」などと思っていると、思わぬ結果になるのかもしれません。
長々と書きましたが、結論はいたってシンプル。FCEを受験するなら、しっかり試験対策しましょう(自戒を込めて自分にも言い聞かせたいです)。
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【FCE試験対策】
・具体的な試験対策 ←スピーキングなどの各技能の試験対策を紹介。
・合格体験記・勉強方法 ←私がFCEに合格した時にやったことなど。
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